皆様は、【自営業】という生き方にどのようなイメージを持っておられますでしょうか?
「自分の好きなことを仕事にできて羨ましい!」
とポジティブに捉える人もいれば、
「不安定で大変そう・・・」
とネガティブに捉える人もいるでしょう。
今回は、自営業となって15年目を迎えた僕が、
「考スケが思う、自営業という働き方・生き方のメリットとデメリット」
について、赤裸々に綴っていきたいと思います。
サラリーマンを辞め、自営業へ転身したきっかけ
僕は、25歳から27歳までの約2年間、正社員としてプログラマをやっていました。
プログラマの仕事はわりと楽しく、職場にいる人たちも良い人が多く、特に不満はない環境だったのですが・・・
では、そんな僕がなぜサラリーマンを辞め、自営業を選択したのか?
その理由は主に2つ。
■「パニック障害持ちだったため、日々の満員電車での通勤が苦痛だった」こと。
■「毎日同じ場所で同じような仕事をするのではなく、自分の好きな分野で、自分で仕事を作っていきたくなった」こと。
今考えると、本当に青臭かったと思います。
まだ何の準備もしていないどころか、何をやるかも決まっていない状態で退職を申し出たのですから。
我ながら、なかなかのチャレンジャーでしたねぇ。。。
実際、周囲の目はそりゃもう冷ややか。
当然ですよね。
僕だって、少し立場や考え方が違っていれば、いきなり何のアテもなく独立しようなどという人間がいたら同じような反応をしたかもしれませんから。
しかしこの時はまだ若いということもあり、「勢い」と「もし駄目でもやり直せるという気持ち」があったので、しれっと独立してみました。
独立後、まずは職種選び
僕が独立した後にまずしたこと。
それは【職種選び】。
要は、どんな分野でどんな仕事をしていくか、ということです。
普通は退職のだいぶ前から練っておくものでしょうが、僕は「ネットを使った何かをしたい」くらいの、もはやプランなどとは呼べないほど粗いプランしか持たないまま辞めてしまいました。。。
なので、独立直後からネットを中心に「どんな仕事をしていこうか?」と悩む日々を迎えることに。
いや、ホント・・・
なぜ退職前にやっておかなかった自分・・・
我ながら、その浅はかさに付いていけない・・・
自営業は、大別すると3タイプに分けられる
さて、一口に自営業と言っても、実に様々な職種があります。
飲食店を開いたり、マッサージ店を開いたり、業務委託としてプログラミング業務を受注したり、小説を執筆したり・・・
挙げ出したらキリがないほど。
しかし大きく分けると、以下の3タイプにまとめられるだろう。
①店舗を構えて商売をする
(飲食店・リサイクル店・釣り具店・マッサージサロン・美容院など)
②店舗を構えず、受注した案件に応じた現場で仕事をする
(プログラミング受注・電化製品の取り付けや修理・ライター・家庭教師・コンサルなど)
③店舗を構えず、自分で何かを生み出して収益化する
(自社開発の健康食品の通販・メディア運営による広告収入・小説家・絵や工作品の販売など)
自営業へ転身するに当たって、僕が一番重視していたのは【時間的な自由】。
これでした。
となると、選択肢は必然的に『③』だけになります。
『①』は、出勤日・出勤時間・出勤場所が決まってしまう場合がほとんど。
これではとても時間的に自由になったとは言えず、何ならサラリーマン時代と大して変わりません。
『②』は、お客様の都合に合わせて動かねばならず、これまた時間的な制約が生まれます。
『①』よりは多少時間に自由が利く、という程度。
『③』は、基本的に締め切りというものもなく、自分のペースで仕事ができます。
その分、最もリスキーという側面もありますが、時間的自由度は格段に高いわけで。
当然、どれを選ぶかはその人その人によって違うでしょう。
接客が好きな人は『①』を選ぶ場合が多いでしょうし、職人気質の人は『②』を選ぶ場合が多くなるはず。
何を選べば正解、ということはありません。
強いて言うならば、
「自分の心に素直になって、一番苦痛が少なく、一番楽しいと感じられるジャンルを選択する」
というのが正解なのかなと。
不安定な自営業生活に突入するのだから、せめて好きなことをやりたいもの。
どんなことを仕事にするか自由に選べる、というのが、自営業の大きなメリットなのですから。
ということで僕の場合は、『③』を選択することに。
考スケが選んだ仕事、それは・・・
「時間的な自由を最優先する」というテーマのもと、僕が選択した具体的な職種は・・・
【web広告業】
これでした。
自分でサイトを作り、そのサイトにアクセスを集め、広告収入を得る、というもの。
いわゆる「アフィリエイト」がメインとなる形態。(アフィリエイト以外の収益も目指していましたが)
自分で自分のサイトを作るので、クライアントは存在しません。
「いついつまでにサイトを作らないと契約切るよ!」みたいな締め切りもありません。
時間的には限りなく自由。
サイト完成予定を、1か月後に設定しようが1年後に設定しようが僕の自由。
誰に何を言われる筋合いもないのです。
しかし締め切りがないということは、それだけ厳しく自分を律する必要があります。
極論、完成させなくても誰にも何も言われないし、誰にも迷惑がかからないのですから。
ただただ自分が困るだけ。
「自分を律する」。
時間的に自由な職種を選んだ場合、これができるかどうかが非常に重要になってきます。
ということでここから15年間、山あり谷ありでしたが、なんとかやってこれました。
途中で収入が厳しくなり、派遣をやったり業務委託をやったりで経済的な困窮をしのぐこともありましたが、自営の方は一度も辞めずに継続できました。
・・・ということでここからは、四苦八苦しながらもなんとか15年自営生活をやってきた考スケが思う、自営業のメリットとデメリットについて書いていきたいと思います。
自営業のメリット(自営業を選択して良かったと思える点)
メリット① : 好きな仕事ができる
先ほど軽く触れてしまいましたが・・・
やはり、これは大きなメリットと言えるでしょう。
サラリーマンの場合、最初は好きで入った業界でも、年数が経つにつれ不本意な仕事をやらされる頻度も増えてくるもの。
最悪の場合、全く違うことをやらされる場合もありますよね。
開発がやりたくて入社したのに、気づけば営業に回されていた、など。
しかし自営業の場合は、そういったことになりにくいです。
例えば僕の場合は、時間に追われずコツコツと何かを作っていくことが好きでした。
なので、webサイトを作るという作業は非常に楽しく、やりがいも感じられました。
仕事内容も画一的ではなく、
■サイトのデザイン構築
■SEO
■閲覧者様を巻き込んだ企画立案&実践
■広告収益の最適化
■どういったコンテンツが閲覧者様に喜んでもらえるかの分析・マーケティング
など、実に多岐に渡る仕事だったため、勉強することも考えることも多かったです。
つまり、それだけ飽きがこないということ。
現に、自営業として働いてきたこの15年間、一度も仕事に飽きたことはありません。
自分が飽きない以上、お金的に問題なければずっと同じ仕事を継続することが可能。
誰かに無理やり業種変更をさせられたり、本意ではない業務を押し付けられたりすることはないのです。
もちろん、自営業でもやりたくないことをやらないといけないこともあります。
僕の場合だと、請求書発行業務や税務作業などがそれですね。
一人会社のため当然事務員さんもいないので、すべて自分でやらなければなりません。
事務員さんを雇えるくらい稼ぎたい・・・
とはいえ、そういったやりたくない業務はほんの一部。
基本的には、楽しいと思える仕事・やりがいを感じる仕事だけに従事できます。
・・・僕の例ばかりを出してしまって恐縮ですが、同じ立場の方ならば多かれ少なかれ共感いただけるのではないかなと。
自分が楽しいと感じられることをひたすら継続できる。
これが自営業の一番のメリットではないでしょうか。
メリット② : 時間的な自由を得やすい
これは前述の通り、同じ自営業という括りでもどんな職種を選ぶかによって変わってきますが、それでもサラリーマンよりは圧倒的に時間的な自由を手に入れやすいです。
例えば、先ほど挙げた「飲食店」。
店舗を構えて出勤日・出勤時間を決めてしまうと、結局はサラリーマンと同じような働き方になってしまう、と書きました。
しかし、、、
どこに店舗を構えるのか?
いつを出勤日としていつを休みとするのか?
何時から何時まで働くのか?
これらについては自由に決められるわけです。
なんなら、一度決めようが、自分の店なのだから自由に変更だってできます。
「今まで水曜日が休日だったけど、やっぱり金曜日にしよう」など。
比較的時間に自由が利かなそうな店舗型の自営業でもこうなのですから、他の職種を選べば、さらに時間的な自由度は高くなります。
しかしサラリーマンはそうはいきません。
自分の都合で勤務地・勤務日・勤務時間を自由に変更できる会社はごくごくわずかでしょう。
時間という、お金では買えないかけがえのないものを手に入れられる。
これも、疑う余地のない大きなメリットです。
メリット③ : 人間関係に悩む機会が少ない
全く人間関係に悩まなくなる、ということはないですが、サラリーマンと比較すると段違いに人間関係に悩む機会が減ります。
自営業は、基本的に仕事の相手を選べるもの。
嫌な仕事は断ってしまえばいいのですから。
居酒屋経営者ならば、酒乱の客は出禁にすればいい。
サボってばかりなくせにやたら口答えしてくるアルバイトは、解雇すればいい。
小説家ならば、やたらとウマが合わない編集者が担当なら、担当を代えてもらえばいい。
担当を代えてくれないなら、出版社を代えてしまえばいい。
このように、いくらでも人付き合いについての調整が利きます。
もちろん、事はそう単純ではないことも多いです。
気に入らなくても、お金や環境の問題で、おいそれと関係を切るわけにはいかない時もあるでしょう。
あまりに人手が足りてない居酒屋だから、サボってばかりで生意気だけど、居ないよりマシなので我慢して雇うしかない場合。
担当を代えて欲しいが、出版社に文句が言えるほど小説が売れていないから、我慢してウマの合わない編集者と付き合っていくしかない場合。
こういったパターンも多々あるでしょうから。
とはいえ、嫌な人間と距離を取る選択肢が一応用意されていることは事実。
居酒屋の人手が足りていないのならば、売り上げを上げて高時給を提示し、もっと人手を集めればいい。
小説が売れてないならもっと腕を磨き、売れる小説を書けばいい。
「それができれば苦労しない」と言われてしまいそうですが、それを努力で実現するのが自営業。
安定的な固定給などどこからももらえないのですから、ひたすら自分で頑張ってスキルなり売上なりを上げていくしかないわけです。
それができれば、人間関係の調整だってどんどんやりやすくなりますし。
しかし、サラリーマンの場合は選択の余地がないのです。
どんなに嫌な顧客だろうと、どんなに嫌な上司だろうと、付き合い続けていくしかない。
会社に「あの人と合わないんで代えてください」なんてことは、余程の理由がなければ言えないのですから。
仮にめちゃくちゃ有能な社員であろうと、上からの命令に逆らった時点でサラリーマンとしての評価は下がるもの。
なので、辞める意思がない以上、いくら有能だろうと会社の言う事には逆らえず、人間関係が辛くても我慢し続けるしかないことの方が多いですよね。
業種によって差はあれど、総合的に見ればサラリーマンと比べて自営業の方が人間関係の悩みを抱えにくいのは確かです。
自営業のデメリット(自営業ならではの悪い点)
ここまでは、やたら自営業の良さを煽るような記事になってしまっていますが・・・
そんなつもりはありません。
デメリットだってきっちり存在します。
僕は決して「自営業最高だからみんなサラリーマンなんか辞めて自営業やろうよ!」などと言うつもりはありません。
どこかのイケハ・・・炎上系ブロガーさんがよくそんなことをおっしゃっていますが、とんでもない間違い。
自営業がいいかサラリーマンがいいかは、その人の『価値観』・『性格』・『環境』・『人生において重視したいもの』・『将来の理想』などなど、様々な要素から決まってくるものですから。
ということで、ここからは自営業のデメリットについて。
デメリット① : 不安定
自営業のデメリットは?と聞かれて、自営業者が真っ先に浮かぶのがコレ。
とにかく、【不安定】の一言に尽きます。
最近はサラリーマンでも安定しているとは言えない時代になってきていますが、それでも比較すれば自営業の方がぶっちぎりで不安定。
まず、1年先が全く読めない。。。
毎年、年初に「1年後どんな感じになっているか」という未来予想図的なものをざっくりと作っているのですが、まあこれが驚くほど当たらないし実現できない。
売り上げ予想が全然アテにならないどころか、1年前には予想だにしていなかった事業に手を出していたりすることも。
大企業ならばある程度見通し通りになることもあるかもしれませんが、僕のような超零細の一人会社では、見通し通りに事が進んでくれるなどほぼありえません。
そしてその不安定さは、日常生活にも影響を与えます。
売り上げが好調な時はいいですが、不調な時は本当に夜も眠れないですから。
布団に入って3時間くらい、ひたすら将来への不安や最悪なシナリオが頭に浮かび、ようやく寝ても2~3時間くらいで目が覚めてしまう、なんていう日々を送っていた時期もあったくらい。
20代や30代前半の頃は、「最悪失敗してもやり直せばいい」という気持ちがどこかにあることでなんとか精神的なバランスを取れますが、40代に突入するともはや潰しが効かなくなってくるので、その恐怖感たるや物凄いものがあります・・・
寄らば大樹の陰。
そこそこの企業に勤めているのならば、そのまま喰らいつき続けるのも、厳しいリアル人生ゲームを乗り切る方法として非常に有効だと思います。
デメリット② : 「孤独な決断」と「大きな責任」
自営業をやっているということは、要は経営者だということ。
自分がトップなのです。
トップである以上、何をするにも決断するのは自分。
何があろうと誰の責任にもできない。
自分の部下がヘマをしようと、避けられない事故で損害を負おうと、その責任はすべて自分にきます。
誰かに相談しても、相談された方は所詮他人事。
いや、もちろん相手は真剣に相談に乗ってくれていることの方が多いでしょうが、「当事者側」と「相談を受けた側」の温度差はどう頑張っても埋められません。
結局は、全責任を一人で負って、一人で決断していかなければならないのです。
このプレッシャーに耐えられるかどうか、というのも自営業に必要な適性でしょう。
デメリット③ : ある程度実績を積まないと各種ローンが組めない
自営業を始めたばかりの頃は、サラリーマン時代に築いた信用はゼロとなり、また最初から積み上げていかなければなりません。
住宅ローンの審査なども、今ではだいぶ緩くなってきているとはいえ、それでも3年程度はある程度の黒字を維持する必要があります。
どんな契約をするのも、サラリーマン時代よりハードルが高くなってしまうのです。
仮に最初が好調でも、直近の数年の業績が悪いとこれまたローンの審査などが通らなくなります。
とにかく、結果を出し続けないと成り立たないのが自営業。
サラリーマンならば、しばらく成績が悪かろうが、多少の居心地の悪ささえ我慢すれば会社に居座れます。
しかし自営は、そういうことが許されません。
成績を残し続けなければなりません。
これがまたかなりのプレッシャーなんですよねぇ・・・
うぅ、辛い。。。
あとがき
以上が、僕が考える自営業のメリットとデメリットです。
普通こういった記事ならば、まとめとして「総合的に考えると、コチラを選ぶべきだ!」みたいな結論を出すものですが、この記事ではあえて避けます。
そんな結論など、何の意味もないので。
自営業もサラリーマンも一長一短であり、「自分が何を求めているか」によってどちらを選ぶべきかは大きく変わります。
当然、答えはその人その人によって全然違うはず。
ただ、上記の自営業のメリット・デメリットを読んだ直後である今この時に、「どちらの方が印象に残っているか」という部分である程度判別ができるかもしれません。
メリットの方が強く印象に残っていれば・・・あなたは自営業体質の人なのかもしれませんね。