カネカ炎上で株価まで下落。そもそもカネカに非はあるのか?

仕事・働き方

先日から、カネカによる「とある転勤命令から端を発した出来事」炎上中です。

この出来事を要約すると、、、

 

40代で夫婦共働き。

夫は「カガクでネガイをカナエル会社」で有名なカネカの正社員。
2019年1月に子供が生まれたので、夫婦それぞれで育休を取得。

夫は実質約3週間ほどの育休を取得し、その間に購入した新居への引っ越しも済ませた。

そして夫が育休を終えて職場復帰すると、その2日後に関東から関西への転勤命令が下る。
しかも、4月22日に復帰したのに、5月16日付けで関西へ転勤しろ、とのこと。

「サラリーマンである以上転勤は仕方がない」と理解している夫。

しかし、まだ子供も小さく、家も購入したばかり。
かなりバタバタした状況なので、せめて1~2か月ほど先延ばしにしてもらえないかと会社にお願いをする。

だが、会社の答えはNO。
しかも有休消化まで却下され、5月31日付けで退社することになった。

 

・・・というのが大体のあらすじです。

なぜ炎上しているのか?

この件が世に広まるきっかけとなったのは、退職に追い込まれた夫のが、ツイッターで事の経緯を呟いたこと。

会社名をボカしつつ(と言ってもほぼ明言しているようなものですが)、夫が退職に至る経緯を呟いたところ、多くの人から注目されました。

2019/6/2あたりから騒がれ始めたのですが、本日6/4にはもう炎上と呼んでよいほど燃え上がっています。
その勢いは、カネカの株価が年初来安値にまで下がってしまうほど。

 

本当にSNSというのは怖いですよね。

個人の呟きから火がつき、それが株価にまで影響を与えてしまうのですから・・・

それも軽微な影響などではなく、年初来安値を叩き出すほどの大打撃。

6/4現在ではだいぶ値を戻していますが、それでもまだこの件はとても炎上が終わったとは言えない状況なので、展開次第ではわかりません。

今後、更なる株価下落が発生する可能性もゼロではないでしょう。

 

なお、今回のカネカによる転勤命令に違法性はありません。

必要に応じて、いつどのタイミングでどの社員に転勤の辞令を出すかというのは会社の裁量ですから。

 

では、なぜ炎上してしまったのか?

一番の原因は、「育休明け直後」だったこと。

男性の育休取得率は5%程度とまだまだ低い状況。

しかし、国としては男性でも気軽に育休が取れる社会を目指しているし、世の中の風潮もそうなってきています。

その動きに倣っている会社も多く、カネカもそういう会社の一つでした。

しかし、そういった状況で取った育休なのに、復帰直後にいきなり関西への転勤辞令。

マイホームを買った直後というのはまだ仕方がないと割り切れるかもしれません。
「家を買ったら転勤の辞令がきた」というのはよく聞く都市伝説なので。

しかし、そこに加えて「育休明け」という状況だったこともあり、「報復辞令なのでは?」と推測され、件の妻のツイートは多くの『いいね』や『リツイート』が発生し、拡散していったのです。

 

実際どうなのかは、この時点ではまだ誰にもわかりません。

発信しているのは、退職した夫の妻だけなのですから。

しかし一つ気になるのが、今回の件があってから、カネカの公式サイトから育休制度などについて触れている「ワークライフバランス」についてのページが削除されたこと。

カネカの広報は「サイトリニューアルの一環」的な回答をしているらしいのですが、このタイミングで都合よくワークライフバランスのページだけが消えるでしょうか?

仮に本当にリニューアルだったとしても、このタイミングでそれをやるのは明らかにまずい対応。

この「ワークライフバランスページの削除」に対しては、ほとんどの人が「痛いところを突かれる前に消してしまえ」という思惑で削除したのだろう、と感じるはず。

 

繰り返しになりますが、本当のところは全くわかりません。

カネカ広報から公式に何か発表されたわけではないので。(日経ビジネスの質問には一部回答していますが)

こういった事例では、双方の言い分をしっかり知った上で、客観的事実などに基づき判断していかないと結論は出せないと思います。

「転勤のタイミング」にはある程度諦めが必要

今回のカネカの一件、夫・妻ともに転勤自体には不満はないとのこと。
組織の一員なのだから、それは受け入れる、と。

ただ、なぜこのタイミングで?というところが不満なようです。

 

確かに気持ちは分かります。

子供が生まれたばかりで、新居にも引っ越した直後。
ただでさえ大変な状況で、かつ育休明け直後での遠方への転勤辞令。

「もう少し待ってくれてもいいのでは?」という気持ちになるのも当然でしょう。

しかし会社側からすると、この『タイミングの問題』も非常に難しいかもしれません。

それを言い出したら、「今なら転勤するのに最適なタイミングです」なんて時の方が少ないのですから。

「マイホームを買ったばかりだから・・・」
「子供が生まれたばかりだから・・・」
「持病の痛風が悪化して辛い状況で・・・」
「親が病気になってしまって・・・」
「もう少しで子供が楽しみにしていた学校行事があって・・・」
「家族から『今はやめてくれ』と言われていて・・・」

「離婚の交渉中で今は大変で・・・」
「恋人と別れた直後で気持ちが沈んでて・・・」

などなど、挙げ出したらキリがありません。
不都合なタイミングなど星の数ほどあります。

中には、今回のケースよりもっと大変な状況での転勤辞令に応じてきた人も多いはず。

 

なので、本当にただただタイミングが悪かったというだけならば、カネカ側に問題はありません。

転勤のある会社に属している以上、転勤の辞令がいつ降りるのかなどわからないのですから。

転勤時期の延期についても、夫婦側は「緊急性がない」と日経ビジネスのインタビューに答えていますが、カネカ側からすればもしかしたら緊急性があったのかもしれません。

 

これらのことからも、ただタイミングの問題だったということなら件の妻の先走りとなってしまいます。

しかし、育休を取ったことへのハラスメントとして、無意味な転勤を無意味に緊急に行わせようとしたのならば大問題

もしそうならば、ツイッターで声を上げて弾劾するという今回の行為は非常に有意義なものでしょう。

妻によるツイートはやや先走りだったかもしれない

以上のことから、今回の結論は非常に単純。

■ハラスメントとして無意味な転勤を命じた ⇒ 問題あり

■件の夫が関西へ転勤する必要があった ⇒ 問題なし

というだけ。

しかし、ハラスメントによる無意味な転勤だったのかどうかは、本格的な第三者機関の調査でも入らない限り、判明することはまずないでしょう。

なので、件の夫としては、会社に居たければ理不尽だろうと命令に従えばよかったし、そこまでして残りたくなかったのならば今回のようにスパっと辞めればいいだけ。
ただそれだけの話で、その通りになっただけのことです。

なので、ハラスメントである確証もないまま妻がツイッターで呟いてしまったのは、やや軽率だったのかなと。

 

ああいったツイートをするのならば、何かしらの証拠を手に入れてからにすべき。

例えば、上司が「腹いせに飛ばしてやった」と言っているのを聞いた人がいるとか、恣意的な転勤だったことを示唆するメールを入手したとか。

人事部と上司は、以前から夫を転勤要員として考えていたのかもしれない。
それが、たまたま育休明けだったのかもしれない。

この程度の偶然は普通に起こり得ます。

30~40代と言えば、更なるキャリアアップに向けてバリバリ働きスキルを磨き実績を上げていくべき時期なのですから。

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※2019年6月7日(金)追記※

昨日6/6、カネカから公式発表がありました。
その内容は以下の通り。

当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みに関し、当社の考えを申し上げます。

  1. 1. 6月2日に弁護士を含めた調査委員会を立ち上げて調査して参りました。6月3日には社員に向けて、社長からのメッセージを発信致しました。更に、6月5日に、社内監査役及び社外監査役が調査委員会からの報告を受け、事実関係の再調査を行い、当社の対応に問題は無いことを確認致しました。
  1. 2. 元社員のご家族は、転勤の内示が育児休業休職(以下、育休とします)取得に対する見せしめである、とされていますが、転勤の内示は、育休に対する見せしめではありません。また、元社員から5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出され、そのとおり退職されております。当社が退職を強制したり、退職日を指定したという事実は一切ございません。
  1. 3. 当社においては、会社全体の人員とそれぞれの社員のなすべき仕事の観点から転勤制度を運用しています。 育児や介護などの家庭の事情を抱えているということでは社員の多くがあてはまりますので、育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません。したがって、結果的に転勤の内示が育休明けになることもあり、このこと自体が問題であるとは認識しておりません。
  1. 4. 社員の転勤は、日常的コミュニケーション等を通じて上司が把握している社員の事情にも配慮しますが、最終的には事業上の要請に基づいて決定されます。 手続きとしては、ルール上、内示から発令まで最低1週間が必要です。発令から着任までの期間は、一般的には1~2週間程度です。転勤休暇や単身赴任の場合の帰宅旅費の支給といった制度に加え、社員の家庭的事情等に応じて、着任の前後は、出張を柔軟に認めて転勤前の自宅に帰って対応することを容易にするなどの配慮をしております。
  1. 5. 本件では、育休前に、元社員の勤務状況に照らし異動させることが必要であると判断しておりましたが、本人へ内示する前に育休に入られたために育休明け直後に内示することとなってしまいました。 なお、本件での内示から発令までの期間は4月23日から5月16日までの3週間であり、通常よりも長いものでした。 また、着任日を延ばして欲しいとの希望がありましたが、元社員の勤務状況に照らし希望を受け入れるとけじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れませんでした。 着任後に出張を認めるなど柔軟に対応しようと元社員の上司は考えていましたが、連休明けの5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出されたため、この後は、転勤についてはやり取りがなされませんでした。このため元社員は転勤に関しての種々の配慮について誤解したままとなってしまったものと思います。

元社員の転勤及び退職に関して、当社の対応は適切であったと考えます。当社は、今後とも、従前と変わらず、会社の要請と社員の事情を考慮して社員のワークライフバランスを実現して参ります。

■引用元 : ハフポスト『カネカが「育休明け転勤」問題に公式見解「当社の対応に問題は無いことを確認」』

 

やはりこの内容を見る限り、「こっちは大変な状況なんだから配慮してくれ」という妻の先走りによるツイートだったという感が否めません。

しかしそう言われても、カネカ側としては配慮にも限度があるでしょう。

引用文に書いてある通り、国内転勤で3週間の準備期間は比較的多い方だと思うし、旅費などの負担についても柔軟に対応していたと明言しています。

「慌てて後付けでそう言いだしたのでは?」と勘繰ることもできますが、僕がこれまでの人生で見聞きしてきた中で考えると、こういった大企業は、『転勤時期』についてはわりとシビアだが『経費部分』については寛容、という印象があります。

 

諸々考慮すると・・・

 

乱暴に言えば、「正社員として超えてはいけないわがままを言ったが通らず、腹いせにツイートしたことが広まってしまった」というようにも思えます。

もちろん、炎上に繋がったという事は、同じように急な転勤に不満を抱えている人も多いという事。
特に育休明けなど、小さい子供がいるのだから配慮して欲しいと考えている人が多いという事。

その証であることは間違いないです。

こういった働く側の意見を受けて、「今後、転勤についてどう対応していくのかをもっとよく考える」ということが、大企業の一つの課題として浮き彫りになった、そんな炎上事件だったと僕は思っています。

 

なお、有休を取らせなかったという点については何も触れられておらず、グレーなままで終わっていますね。

カネカとして触れたくなかったのか、それともそういったやりとりはなかったのか。

次の項目で触れていますが、公式に発表するならば、「迅速に」も大事ですが、それ以上に大事なのが「詳細かつ漏れなく」。

そう考えると、この公式発表だけでは少し物足りない印象です。

公式発表後もまだ炎上は続いているので、有休についての続報的な発表もあるのかもしれません。

※追記終わり※

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こういう場合に炎上を防ぐ対応策は2つしかない

問題だったのが、先ほども触れたカネカ側の大きな対応ミス。

ワークライフバランスのページを公式サイトから削除してしまった事です。

この行為は、今回の炎上にとってマイナスでしかありません。

 

こういった炎上が起きた場合、正しい対処法は2つだけ。

それは、【謝罪なり経緯説明なりを公式に詳細かつ漏れなく表明する】【徹底的に無視する】かのどちらか。

それ以外の中途半端なアクションは、ただ炎上の燃料になってしまいます。

 

しっかり対応するつもりならば、人事部や上司など、今回の転勤辞令に関わった人間からのヒアリングや調査を迅速かつ徹底的に行ない、その間は一切アクションを起こさない。

そして事実が判明したら、それがカネカにとって有利なことだろうと不利なことだろうとそのすべてを速やかに発表し、謝罪が必要ならば誠心誠意謝罪する。

この対応がベストだと思います。

 

そして「徹底的に無視する」という手段。
これも、場合によっては適切な対応でしょう。

言い方は悪いですが、辞めることになってしまった腹いせにこういう行動に出る人は一定数存在するもの。
そういった人にいちいち対応していてはキリがないですよね。

今回のケースで言えば、株価も既に戻ってきているし、「変に動くよりは何もしない」という方がよいこともあります。

なんにせよ、中途半端に動いてしまうのが一番良くありません。
それだけは絶対に避けるべきでしょう。

最後に

客観的に考えても、国内転勤の場合は3週間くらい前に転勤の辞令が下りるのは普通のこと。

ひどい時は、「3日後に●●に転勤ってことでよろしく!」なんて言われることもあるようです。
これは、実際に知り合いが喰らった実例です・・・

 

今回のカネカの件、有休消化を認められなかったのは確実にアウトですが、それ以外はどんな企業でも起こりうること。

ハラスメントならばもちろん大問題ですが、そのためだけにわざわざ会社の経費を使って関西に飛ばすなんてことをするでしょうか?

しかも、日経ビジネスのインタビューで、カネカの人事部は「こういう(男性の育休の)事例をつくりたいと前向きだった」と件の妻が答えています。

会社としてワークライフバランスページを用意し、男性の育休取得に対しても前向きな姿勢を示し、人事部もそういう見解を示している。
そんな中で、ハラスメント的な無意味な転勤を強いることなどあるでしょうか?

個人的には、そう思ってしまいますね。

 

先ほども書いた通り、双方の言い分がわからないと結論など出せません。

しかし、今の時点の情報だけで判断すると、件の妻がやや感情的になってしまい、思わずツイートしてしまったのかな?という気がしてなりません。

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