【飲食業での独立開業は失敗の可能性大】飲食店経営で成功する難しさ【廃業率はワースト】

飲食店経営は失敗しやすい 仕事・働き方

脱サラして独立開業!

こういった野望を持っていらっしゃる方も多いでしょう。

僕も、サラリーマンとしてプログラマーを2年ほどやってから、26歳の時に勢いで独立し、そこから15年ほどひた走りつつ今に至ります。

 

僕が最初に選んだ職種は、アフィリエイトを中心とした『web広告業』だったということで、初期投資に怯えるリスクはほとんどありませんでした。

ネットで何かを始める場合は、よほど大規模なことをやろうとしない限り初期投資はいくらでも抑えられますので。

しかし・・・飲食店となるとそうはいきません。

飲食店は超えるべきハードルが多い

実は僕も、飲食業に手を出そうと思ったことがあります。

居酒屋が好きすぎたので、いつか自分も理想の居酒屋を持てたら、そしてそんな居酒屋で利益を出せたら、と考えていました。

行きつけの店もいくつかあったので、そういったお店の大将や店長や店員さんから世間話がてらいろいろ話を聞きました。

そして聞けば聞くほど「厳しそうだな・・・」という印象が強まっていく羽目に。。。

 

飲食店を始めるにはまず、以下の最低限のハードルを超える必要があります。

 

■継続的に利益を出せそうな物件選び

■諸々の必要な事務手続き

■保健所の許可や調理師免許

■店のコンセプト決定

■不人気業種である飲食店での人員の確保

■仕入れ先の選定

■メニューの開発

■原価と利益率の計算

■競合店調査

 

こちらは、あくまで最低限のもの。
細かく挙げ出せばキリがありません。

特に、「原価と利益率の計算」は他業種以上に大変。

メニュー構成や店の雰囲気などにより客の回転率も変わってくるので、そのあたりも考慮して細かく算出しなければならないのですから。

 

とにかく、上記の各項目のすべてが、『飲食店』となるとハードルが上がってしまいます。

 

例えば美容院

最初の物件選びや事務手続きはもちろん必要ですが、メニューの開発についてはあまり必要ありません。

技術の差はあるものの、「髪を切る」「髪を染める」など、やることはほぼほぼ決まっているのですから。

そして、美容師として独立する以上既に免許は持っているし、人員の確保についても横のつながりから飲食店ほど確保に困りません。
最悪の場合、自分一人でやっても問題ないわけですし。

これらは、実際に僕が通っている美容院のトップの方から聞いた話です。

「利益率は高いし、人員もどうとでもなるので、よほど立地でミスったり技術的にひどかったりしない限り、美容師の独立は成功率が高いですね」

こう断言していました。

事実、僕の近所でもボコボコと新しい美容院ができていますが、潰れているのはほとんど見たことがありません。

理由は単純。
美容院ビジネスの原資のほとんどが『髪を切る技術』だから。

そのため、利益率が非常に高くなりやすいわけですね。

飲食店は利益率が圧倒的に低い

しかし飲食業は、とにかく原価部分での圧迫率が高いです。

代表的なのは、以下の2点。

■最もよく出るアルコール『生ビール』の原価率の高さ(一杯150円ほど)

■廃棄ロス率の高さ

こういった部分が、利益率の低下に繋がっています。

 

まずは生ビール。

こちらは、素人でも「原価が高い」と知っている人も多いほどのアルコール。
当然、注文されればされるほど儲かりづらくなります。

ですが・・・

「まず最初は生で乾杯」。

この文化はいまだに根強く残っているし、終始ビールしか飲まないビール党もいます。

居酒屋オーナーは、生ビールを頼まれるたびに心の中で軽く溜め息をついているでしょう。。。

 

逆に利益率が高いアルコールは、なんと言っても『ウーロンハイ』。

チューハイ関連は全体的に原価を抑えやすいですが、特にウーロンハイは安いようです。

ウーロンハイばかり頼む客がいれば・・・オーナーのニヤニヤは止まらないでしょう。。。

 

余談ですが、テキーラもかなり利益率が高いとのこと。

理由は、原価が安い上にそこそこの定価を設定しても注文する層が多いから、ということらしいです。

確かに、酒の強さを比べるためにテキーラショットの飲み比べ大会をする猛者をたまに見かけます。

居酒屋オーナー側からすれば、拍手を送りたいくらい素晴らしい大会のはず。。。

 

そしてさらに深刻なのが、廃棄ロスの問題。

店側は、数々のメニューに対応できるように各種食材を用意しておきます。

しかし、当然すべてのメニューが満遍なく注文されるわけはなく、全く注文されずに廃棄せざるを得ない食材も出てきますよね。

メニュー数が豊富なほど、このロスに遭遇しやすくなります。

 

なので、店舗運営の年数が経つほど「注文されやすい商品」・「注文されにくい商品」がわかってくるため、『メニューの統廃合』『食材の流用が可能なメニューの開発』に勤しむことになります。

しかしそれでも、数日単位で的確に注文を予期することなど神業なので、どうしても廃棄ロスは出てしまうわけで。

仕入れたはいいものの、無駄に捨てることになってしまうという食材を無くすことはできないのです。

特に、良い料理を出そうと思えばそれだけ原価の高い食材を仕入れる必要があります。
そんな高価な食材でも、使えなくなってしまえば廃棄せざるを得ないわけで・・・

これは、飲食店ならではのリスク。
他の業種で、「仕入れたら数日で消費しなければいけない」という品が多いという業種はほぼ存在しません

 

こういった特徴から、薄利を余儀なくされるため、飲食店で恒常的に利益を出し続けるというのは非常に難しいのです。

一見繁盛しているように見えても内情は火の車、なんてことも珍しくありません。

個人経営で生き残っている飲食店の実例

もし上手い事客足が伸びたとしても、個人として一店舗だけ経営していたのでは全然儲かりません。

前述の通り、飲食店系は薄利となるので、リスクや苦労が多いのに得られる収入は平均的なサラリーマン並、ということがほとんど。

そもそも、個人として飲食店を立ち上げて生き残れるだけですごいこと。

個人店として経営を続けられているところは、独自の研究・努力を重ねてその店その店の生き残りの方程式を作り上げた店だけに限られます。

 

以下に、僕の知る個人の飲食店で成功している事例を列挙してみます。

 

例① : お客を巻き込む鮮魚居酒屋

普通に仕入れれば高価になりやすい『カワハギ』などの魚を、釣り仲間からタダで仕入れてお客に出す。
店の常連になってから、自分の釣った魚をこの店に持ってくる客も多い。
そのためお客は、高くなりやすい肝付きのカワハギの刺身を安価で食べられる。

その分、釣った魚を提供している釣り仲間や常連は、この居酒屋で食べ放題&飲み放題。

 

例② : 客の動向を見ながらメニューを日々変化させる本格イタリアン

オープン当初は様々なメニューを用意していたものの、注文数の少ないものは容赦なく切り捨てつつ、人気メニューはそのまま残す。
その他、コースメニューを設けて、人気メニューとそこそこ売れているメニューを組み合わせて販売。

 

例③ : 名古屋コーチンだけに特化した焼き鳥屋

ブランド鶏である『名古屋コーチン』以外は使わないという徹底ぶり。
そのため、安価がウリの焼き鳥なのに単価がかなり高め。
原価率が高いため、店の外観や内観に費用をかけることができずどちらもかなり汚い。
しかし、味の分かる本物だけが集まる店として人気を博し、平日でもなかなか座れない。

 

このように、何かしらの突出した人脈や特色がないと、個人で飲食店を成り立たせるのは難しいんじゃないかなと。

そして、こういった成功している店でも、個人として一店舗を経営しているだけだと、収入は普通のサラリーマン並となってしまいます。

多店舗展開しないと儲からないが・・・

「個人店として成功しても儲からないならば、何店舗も開けばいい。」

個人店で成功すると、こういった思考に辿り着く人が多いです。

確かにその通りで、飲食店でしっかりと儲けるならば多店舗展開をしないと話になりません。
薄利である以上、多売するしかないのだから。

しかし、まず店舗拡大の道が険しい。。。

個人店として成功しているのならば、『確かな仕入れ先』『売れるメニュー』についてはある程度保証されていることになります。

しかし、

■新たな店舗となる立地
■その店舗での人員
■出店先のライバル店舗

これらは、実際に営業してみるまでわかりません。

万全の状態で臨んだつもりでも、いざ営業を始めたら全然思うように進まなかった、なんてことは日常茶飯事なのですから。

かつ、一旦上手くいったとしても一切油断できません。
多店舗展開が進むほど、わずかな綻びで大打撃を被りますから。

 

2019年の例でいけば、『いきなりステーキ』が有名でしょう。

「立ち食いで高品質なステーキを安価で提供」という革新的な営業スタイルでみるみる伸びていきましたが、競合他社に真似されて客を奪われた上、自社店舗同士でも客を食い合うようになってしまいたちまち売り上げが減り、2019年6月には米ナスダック市場への上場廃止にまで追い込まれてしまいました。

経営悪化に陥るまで、1年もかかっていません。

その他、快進撃を続けた塚田農場も、業態を真似したモンテローザグループによる山内農場の登場によって客が分散され、一気に勢いが止まりました。

このように、たとえ多店舗展開がある程度うまくいっても、ほんの少しの綻びから一気に衰退してしまうわけです。

原価率の高い商売ならではの現象ですね・・・

代表的な失敗例

そもそも飲食店をやろうと思う人は、「自分の理想の店を作りたい!」という想いから起業しようとする人が多いです。

これが、そもそもの間違いのもと。
僕も、まんまとこの罠に陥りそうになりました。

 

いきなり自分の理想を体現した店をやろうとするのは、飲食店で一番やってはいけないこと。

最初から自分好みの店にしようとすると、ほぼ確実に失敗します。

 

例としては・・・

「毎日来ても飽きない店にしたい! だからメニューはたくさん用意したい!」

⇒ 廃棄ロス量産の元

 

「この店のコンセプトにワインは合わないから置かない!」

⇒ 顧客のニーズとしてワインが多いかもしれない

 

「静かな雰囲気を楽しんで欲しいのでアルコールは出さない!」

⇒ 利益率を考えるとアルコールは出すべき

 

「とにかくお客様にゆっくりしていって欲しい! できるだけ長時間楽しめる店づくりをしたい!」

⇒ 客の回転率が悪くなる

 

このように、利益よりも自分の理想を優先しようとすると、短期間のうちに経営が立ち行かなくなる可能性が高くなります。

 

せっかく夢の飲食店をやりたいのだから、自分の理想を反映させたい気持ちは重々分かります。
まさに僕もそうだったので。

しかし・・・

ビジネス、特に飲食店経営について調べれば調べるほど、そして経験者の話を聞けば聞くほど、いきなり自分の理想の飲食店をやろうとするのがいかに無謀なことかがよく分かります。

『マーケットイン』と『プロダクトアウト』

ビジネスを始める際には、『マーケットイン』『プロダクトアウト』という概念が重要になってきます。

■マーケットインとは

どういう物が売れるかを事前に調査してから、サービスや製品の生産に入ること。

 

■プロダクトアウトとは

「これを作りたい!」「これを売りたい!」という独自の思想でサービスや製品を生産し、その後にどのように販売・訴求をしていくか考えること。

 

どちらにも良い点・悪い点があります。

 

マーケットインは、消費者のニーズを調査した上で『売れると思われるサービス・製品』を作るのだから、それなりに売れる公算が高く、大コケはしにくくなります。

しかし、世論に擦り寄った当たり障りのない物になることが多く、大ヒットも狙いづらいという弊害もあります。

 

対するプロダクトアウトは、大コケする可能性も高いものの、一般消費者が予想もしなかったような革命的なサービス・商品が生まれる可能性があるため、一旦当たれば爆発的にヒットしやすいという特徴があります。

 

プロダクトアウトの代表格と言えば、世界的大企業である『Apple(アップル)』

会社として良いと思ったもの・・・と言うより、当時はスティーブ・ジョブズという個人が良いと思ったものだけを作り、完成した後にその魅力について全力で宣伝して販売していくというスタイルでした。

このスタイルにより、Appleは『iPhone』という革命的な製品を生み出し、とんでもない大ヒットを生み出したのは周知の事実。

古い例でいけば、日本の大企業『Sony』が躍進したきっかけとなった『ウォークマン』も、完全にプロダクトアウトです。
ウォークマンは、宣伝の上手さで爆発的なブームとなりました。

 

このように、メーカーならばプロダクトアウトの思考でもいいのかもしれません。

しかし、飲食業界でそれをやるのはかなりリスキー。

店のコンセプトや鮮烈な味、飲食業界の常識を破壊するような接客やサービス、といったスティーブ・ジョブズ並みの強烈なプロダクトアウトならば可能性はありますが・・・

なかなか、そこまで強烈なプロダクトアウトを生み出せる人はいないでしょう。

 

その他であれば、よっぽどの知名度がある料理人、もしくはブランド。

そういったものがあれば成功の可能性はありますが、いずれにしてもレアパターンになってしまいます。

なので、もし飲食店経営をやるならば「いかに一般受けするか?」にこだわったマーケットインにて始めるしかありません。

しかし、適切なマーケットインを実現するためには膨大な調査が必要となり、そのためには人員&時間が鬼のようにかかってしまうわけで。

こういったことからも、結局は個人が飲食店を始めて成功する可能性はかなり低いと言わざるを得なくなります。

飲食店の廃業率はワースト1位

その証拠に、国の機関である『中小企業庁』が発表した、以下のデータがあります。

開業率・廃業率

■画像引用元 : 2017年版中小企業白書 概要 – 中小企業庁

上記のマトリクス画像の右上を見ていただければわかる通り、『宿泊業・飲食サービス業』『高開業率・高廃業率』の分野でトップ

つまり、この分野で独立開業する人は多いが、夢破れて廃業していく人も多い、ということを示しています。

実際に飲食業は、図の通り他の業種と比べて段違いで開業率・廃業率ともに高いです。
飲食で成功するのは限りなく細い道・・・

 

【飲食店経営は、ビジネスの中でも最も難しい】

ビジネスの専門家でも、こう断言する人が少なくありません。

【飲食業独特のリスク】

■利益率が低い

■流行ると真似をされて競合が増える

■ブラックな環境というイメージが染みついているため雇用が大変

■食中毒リスク

 

こういった飲食業独特のリスクが多いため、廃業率は他の業種の平均と比べて2倍ほども高いのです。

よほど特殊な事情があって成功に確信が持てるような状況でない以上、安易に手を出すべきではないでしょう。

 

具体的な廃業率については、統計データとしていろいろなものが出ていますが、何を母数としてどんな条件で統計を取っているのか不明なのでどこまで信用できるかはわかりません。

しかし、各種統計を見てみた結果、僕が導き出したのは・・・

【個人で飲食店を開業した後、5年間生き残れる可能性は10~20%

これが妥当な数字だと思っています。

それでも人気の飲食業

・・・と、いろいろ書いてきましたが、実はこれだけ厳しい状況だということをすべて承知の上で飲食店経営に乗り出す人も大勢います。

それは、「成功率が低いことは分かっているが、やっぱり夢を追ってみたい」という想いからでしょう。

なので最後に、僕が飲食店をやる際に実行しようと思っていたことの一つをここに記したいと思います。
これが、最も重要なことだと思うので。

 

それは・・・

 

【自分が出そうとしている店について、周囲の人に徹底的に粗探しをしてもらうこと】

 

これです。

自分が作ろうとしている飲食店について細かく説明した後、家族・友人・知人などに、

「こんな店に対して、無理にでもいいからクレームをつけてみて?」

とお願いしてみます。

すると、まあびっくりするくらい否定されるでしょう。

それもそのはず、人の価値観などバラバラで、自分が良いと思っているサービスが、他人からしたら苦痛の場合も多々あるのですから。

「無理にでも」というエクスキューズを利かせることで、人は文句をつけやすくなります。

普通に感想を聞いても得られないような答えが返ってくるので、非常に参考になるはず。

 

例えば・・・

 

■こういうコンセプトの店、駅の反対側にもあるよね。

■値段・・・高くない?

■普通過ぎて、あえてこの店に寄ろうと思えるような決め手がないよね。

■そもそも、この時給で人なんて集まるの?

■完全無添加・無農薬なんて・・・本当に可能なの? 利益取れるの?

■ターゲットは20~50代の男性っていうけど、その層から見向きもされなかったらどうするの?

■イタリアンだからハイボールは置きたくない、っていうこだわりは分かるけど・・・飲みたい人も多いと思うよ?

 

・・・などなど、キリがないくらいのダメ出しを喰らうはず。

こうした数々のダメ出しにもきっちり対応しつつ、それでも成功率が低い事も重々承知した上で開業するのならば・・・

飲食店は男のロマン、それはそれでやってみるのアリかもしれません。
僕も、機会があればいつかやってみたいと今でも思っていますから。

・・・ちなみに妻からは、「飲食だけは絶対にやめて」ときつく言われています。。。

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