彼氏・彼女や結婚相手がパニック障害で悩んでいるという方へ

パニック障害

彼氏彼女結婚を考えている相手パニック障害を持っていると、

「このまま付き合い続けて大丈夫だろうか?」
「結婚してもやっていけるだろうか?」

という不安を抱く方もいらっしゃる模様。

そこで、パニック障害とのお付き合いが始まって20年以上経つ僕が、パニック障害持ちの彼氏・彼女と付き合い続けるべきか、結婚をどうすべきか、などについて、自分の経験をもとに思うところについて書いていきたいと思います。

パニック障害持ちの恋人がいて、少しでも迷ったり悩んでいたりする人の参考になれば幸いです。

同じパニック障害でも、人によって症状の重さが異なる

一口に『パニック障害』と言っても、人によって程度が全然違うもの。

「たまに調子が悪い時があるくらいで、乗り物もあまり得意ではないが我慢すれば乗れる」という症状の軽い人もいれば、「家から出ることも困難」という症状が重めの方もいます。

 

軽度の場合ならば、必要な時に頓服で抗不安薬を飲む程度で普通の生活が送れますし、薬物治療などで完治(正確には寛解)も望めます。

そもそも軽度ならば、普通に生活するうちにいつの間にか予期不安がなくなり、気付けばパニック障害が治っていた、なんていうパターンもあるくらい。

重度の場合ならば、まずは治療を最優先とし、医者へ行くのも良し、「自律訓練法」・「日常的な腹式呼吸」・「食事療法」・「運動療法」・「認知行動療法」・「ヨガ」などを自分なりに組み合わせて改善するも良しで、とにかく症状を少しでも軽くすべく全力で動くべきでしょう。

とにかく、人によって症状の重さはバラバラなのです。

 

ここでは、間を取って、日常的に「中程度」の症状がある場合に絞って話を進めていきます。
中程度とは、「日常生活においてちょこちょこ厳しいものがあり、中にはどうしてもできないようなこともある」というのが目安です。

パニック障害は厳密に言うと『病気』とは少し違う

「彼氏や彼女、もしくは結婚相手がパニック障害を持っている」ということに不安を感じている方。

そういった方にまず問いたいのが、「パニック障害を少し誤解していないだろうか?」ということです。

 

人は、極度の高所恐怖症の人を『病気』と呼ぶでしょうか?

医学的には病気と呼ぶこともあるかもしれないですが、一般的な感覚でいけば、

「私、極度の高所恐怖症で、脚立にも乗れないんだよね~」

なんて話を聞いた時に、

「ああ、この人は病気なんだな」

と思う人は少ないと思います。

他にも、「私、蕎麦アレルギーで、蕎麦を食べられないんだよね~」と言っている人を病気だと思うでしょうか?
これも『アレルギー』なので一応病気に分類されることもあるでしょうが、高所恐怖症同様、「この人は病気なんだ」とは普通思われないはず。

パニック障害も、これと似たようなもの。
病気と言えば病気ですが、個人的には、いわゆる病気とはまた少し違うと思っています。

 

パニック障害は、心配性な性格だったり、体質だったり、過去のトラウマだったりが原因で発症するもの。
そして、何の理由もなく急にくるのではなく、『何かしらのきっかけ』で襲ってくるパニック発作を必要以上に恐れてしまい、行動が制限されてしまうようになってしまいます。

『何かしらのきっかけ』とは、電車などの物理的に逃げられない空間にいたり、美容院などの論理的に逃げられない空間にいたり、といったもの。

電車は、自分の意志では勝手に降りられません。
美容院は、物理的には自由に移動できますが、髪を切っている最中にいきなり外に出るのはおかしい、つまり論理的に拘束されているので勝手に離れられません。

こういった拘束されている状況で「パニック発作がきたらどうしよう?」と架空の心配をしてしまい、結果的に行動が制限されるようになっていきます。

 

しかし、『行動が制限される』という点を取っても、病気というより恐怖症の一つという方がしっくりこないでしょうか?

高所恐怖症の人は高いところへ行けない、という制限があります。
閉所恐怖症の人は狭い場所に行けず、暗所恐怖症の人は暗い場所に行けない。
もしこれらの恐怖症を持った人間が苦手な場所に行けば、多くの場合心身に異常をきたします。(めまい・吐き気・気分の悪さ・失神・のぼせ・絶望感などなど)

 

このように、【パニック障害は『心配性な性格』や『体質』や『過去のトラウマ』が心身の異常を誘発するものであり、いわゆる『病気』とは少し違う】と僕は考えています。

まあ、過剰に心配したり不安に感じたりすることで、結果的に脳内神経伝達物質であるセロトニンの分泌に異常をきたすわけですから、病気の一つであることは間違いないのですが。

このあたりは伝え方や表現が難しいところですね。。。
高所恐怖症の人が高いところに登れば、パニック障害の人と同じようにセロトニンの分泌異常が発生するわけですし。

何を持って病気とするか、ですね。

彼氏・彼女・結婚相手がパニック障害だった場合の苦労

パニック障害が病気であろうとそうじゃなかろうと、パニック障害持ちが彼氏や彼女、結婚相手といったパートナーとなると、確かにそれなりに苦労する場合があります。

僕自身が20年選手のパニック障害持ちということで、過去の彼女や今の嫁にもそれなりの迷惑や負担をかけてきたので。
その実例をいくつか挙げてみようと思います。

海外旅行が無理、国内でも遠方はほぼ無理

海外旅行は絶対に無理で、北海道や沖縄も行くのはほぼ無理です。(僕は千葉県在住)
考えるだけでもゾッとするくらい、長距離移動が苦手なので。

パートナーが旅行好きの場合、そこそこな心理的負担になると思います。
「自分はこの先、パートナーと遠くへ旅行することはないのか・・・」と。

我が家の場合も、嫁が海外旅行が大好き。
独身の時はよく行っていたらしいです。

しかし、海外旅行についてはもう完全に諦めてくれています。
その分、子供が大きくなった時に一緒に海外旅行をする、という目標があるようですが。
この目標は、是非とも支援したいですね。

予定が立てづらい

一か月後にどこどこへ遊びに行こう、みたいな予定を立てるのが苦手です。

そんな予定を立ててしまうと、

「その直前に風邪を引いたらどうしよう」
「何らかの仕事が入ったり、急に調子が悪くなったらどうしよう」

そんなことを考えてしまうので、あまり先の予定は立てたくないのです。
本当はそこまで過剰に心配する必要などないのに・・・

なので我が家では、旅行に行く時も前々日や前日にいきなり嫁に伝えたりします。
これについても本当に申し訳ないですね。。。

パニック障害は、心配性だったり責任感が強かったりする人がなりやすいもの。

「約束なんて別にそこまでしっかり守らなくていいでしょ。」
「体調崩したなら行けないんだからしょうがないじゃん。」

いっそこんな風に割り切れたらいいのですが、そう簡単に割り切れないんですよね。
せっかく約束したことは、なんとしてでも守りたいという過剰な責任感を感じてしまうのです。

「約束したんだから、しっかり守らねば。」
「事前に予定を立てて、相手もスケジュール空けて楽しみに待っているんだから、キャンセルなんて絶対にできない。」

こんなふうに自分を追い込むことで、「もし行けなかったらどうしよう」という予期不安が募り、結果的に前日や当日に調子が悪くなってしまったりする。
本末転倒だとわかってはいるのだが、駄目なんですよねぇ。。。

とはいえ、そういう大事な日の前には頓服として抗不安薬を飲んでおけば問題ないので、今では普通にスケジュールを立てることも多いのですが。

苦手な場所やシーンに出くわすと、不意に調子が悪くなる

高所恐怖症や暗所恐怖症などの恐怖症と違うのは、この部分が大きいかもしれないですね。

高所や暗所は、不意に出くわすことはまずありません。
事前にいくらでも避けようがありますよね。

しかしパニック障害持ちの苦手な「拘束感」は、不意にやってくる場合もあります。

 

例えば僕の場合。
車を運転している時に、予期せぬ渋滞に巻き込まれたりすると、そこで変に考えすぎてしまい調子を崩すことがあります。

「渋滞中・・・ということはここから抜け出すことはできない・・・」

と一旦考えてしまうとまずい。
自分の中でどんどん悪いイメージが膨らんでいき、めまいやのぼせや焦りなどの予期不安症状が出ます。

これに付き合わされるパートナーは、なかなかしんどいと思います。。。

 

しかしパニック障害との付き合いが長くなると、こういったことはほぼ避けられるようにもなってきます。

初期の頃は突然の渋滞で嫁に迷惑をかけたこともありましたが、今ではまずありません。
自分なりの対策法をいくつも備えているからです。

僕の場合ならば、「車のクーラー機能を使って顔に冷風を当てる」「それでも駄目なら抗不安薬を飲む」など。
顔に冷風を当てると、びっくりするくらいに不安感が鎮められるんですよね。

これは僕に限らず、パニック障害歴が長い人は自分なりの対策法を持っていたりします。

パニック障害持ちの良いところ

ここまで、パニック障害持ちと一緒にいることのデメリットばかり書いてしまったので、良いことも書かせていただきたいです。
自分を卑下してばかりいるようで虚しいので・・・

実際、僕はもうそこまで気にしていません。
割り切り、飲み込んでいます。
その場その場の対処法は身に付けていますし。

 

ということで、自分で書くのも恥ずかしいのですが、パニック障害持ちの良いところも書いてみますね。
これは僕だけの事ではなく、僕の周りにいるパニック障害の人や、友人・知人から聞いたパニック障害持ちの人の話なども聞いた上でまとめた『良いところ』です。

真面目で責任感が強い

前述した通り、パニック障害というのは「真面目で責任感が強い」人間ほどなりやすいもの。

例えば『約束』。
必要以上に責任感を感じて、「絶対に守らないと!」と考えすぎてしまうことがあります。

だからと言って、相手から約束をドタキャンされても何とも思いません。
理由があってのドタキャンならば、当然のことなのですから。
ただ、自分がそれをするのが嫌なだけなのです。

そして、真面目で誠実、というのも特徴の一つ。
間違っても、人を騙すような人間はパニック障害にはなりません。
というか、なれません。

僕は、「パニック障害を持っている」というだけで、その人の事はわりと信用してしまうくらいです。
「ああ、いい加減だったり薄情だったりする人じゃないんだな」と。。。

空気を読む力が高い

これも、パニック障害持ちの大きな特徴だと思います。

周囲への気配りを徹底し、勝手に空気を読んでしまう。
というか、読み過ぎてしまう。
それゆえに、日々メンタルが疲れてくる、という弊害を被ります。

他人への思いやりの力

自分がパニック障害で苦しんでいることにより、他人の苦しみもより理解できるようになっているため、人を思いやる気持ちについてはすごく強いものを持っていると思います。

これはパニック障害に限らず、難病や重い病気を患った人全般に言えることですよね。

病は、人を成長させてくれます。

病気知らずで精力的な方の中には、

「なんで徹夜ができないの?」
「もっと頑張れるだろう!」

と、他人に厳しく接する方もいらっしゃるかもしれません。

しかし僕は、パニック障害という思いもよらなかった病気になったことで、「こんなことができなくなったりするんだ・・・」と学ぶことができました。

おかげで、自分が当たり前に出来ることを他人ができなくても、今ではなんとも思いません。
むしろ、「分かるっ・・・そこは無理せずに!」という気持ちになり、自然と出来る限りのバックアップをするようになりました。

パニック障害になる前までの僕はアクティブの塊。
なので若い頃は今と真逆で、周囲に対して「なんでこんなことができないんだろう?」とよく思ってしまってました・・・
本当にダメな奴でした・・・

こういう僕のダメな部分を直してくれたパニック障害には、感謝する部分もあったりします。

パニック障害も「一つのハンデ」に過ぎない

この世に、何のハンデも持っていない人間など存在するでしょうか?

例えば、、、

【持病】
喘息や片頭痛などの病気、躁鬱や統合失調などの精神疾患、痛風や糖尿などの生活習慣病、パニック障害やPTSDなどの心理的疾患、自律神経失調症などの神経疾患、アレルギー体質など。【発達障害】
自閉症スペクトラム、ADHDなど。

【難病】
潰瘍性大腸炎、重症筋無力症など。

【ルックス】
身長が低い、太りやすい、禿げやすい、容姿が悪いなど。

【能力】
年収が低い、コミュ障、運動音痴、記憶力が悪いなど。

【人柄】
すぐ暴力をふるう、モラハラ、パワハラ、サイコパス、浮気性など。

ここに挙げたハンデはごく一部ですが、そのごく一部のハンデの中だけでも、一つも当てはまらないなどという人はほとんどいないはず。

そう、パニック障害もハンデの一つに過ぎないのです。

そんな単なるハンデの一つであるパニック障害を持っているからといって、それで恋人の価値を不当に判断してしまうのはもったいないというのが僕の正直な感想。
あくまで、総合的に見るべきじゃないのかなと。

 

もちろん、どうしても譲れないものがあるのならば、折り合わないかもしれませんね。

「海外旅行のない人生なんてありえない」という人ならば、飛行機に一生乗れないかもしれないパニック障害持ちを結婚相手に選ぶのは致命的かもしれません。

「一度でも浮気するとかありえない」という人が、他は完璧だが浮気性だけは直らないという人をNGにするように。

 

パニック障害というハンデを、あなたがどう判断するか?
致命的なものなのか? 総合的に見れば許容できるものなのか?

彼氏・彼女として付き合い続けるか、その先の結婚まで見据えるかは、そこに懸かってくると思います。

最終的にどう決断すべきか

それでも、パニック障害持ちの人との交際や結婚に自信がない場合は、数か月ほど一緒に住んでみてから結論を出すのがよいと思います。

その生活の中で特に何も思わなかったり、思うところがあっても「トータルでみれば良い部分の方が多い」「多少制限はあるものの好きという気持ちの方が強い」ということが自分の中で確認できたら、そこで初めて交際続行や結婚を決意する、という流れにすればいいでしょう。

僕の場合も、今の嫁とまずは2か月同棲し、その後にどうするかを決めました。

そして2か月後、普通に結婚しました。
まあ先ほどから書いている通り、パニック障害持ちとは言っても基本的には通常通り生活し、特定の場所やシチュエーションになるとやや不具合がある、という程度なので、通常は「好き」という感情があればそこまで問題になるものではないと思っていますが。

 

なお、しばらくの間一緒に暮らして、特に何も不安を感じたり嫌になったりしていないのならば、もうそこからは普通に結婚するのと変わらない。
パニック障害を持っているかどうかは関係なくなる。

「でも、結婚後にパニック障害が悪化して、生活が大変なことになるかも・・・」

って?

いやいや、それを言い出したらキリがありません。

確かに、結婚後パニック障害は悪化するかもしれませんし、逆にほぼ無症状になるまで回復するかもしれません。
読めるはずのない未来の話など始めたら、答えなど一生出せませんよね。

すこぶる健康な人と結婚しても、1年後にとんでもない難病を患ったり大きな事故に遭ったりで動けなくなる可能性だって普通にあります。
実際、そういう例は世の中に腐るほどありますし、僕の周りでも起こっていました。

それくらい、読めもしない不確かな未来まで考えて足踏みするのは無意味だということ。

 

パニック障害は、一つのハンデに過ぎない。
判断材料としては、それくらいの認識で充分。

その上で、相手を総合的に見て判断し、自分としてどうしたいのかを決めていくべきではないかと僕は思います。

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