昔は、飲食店だろうが病院だろうが、どこに入るのも運でしたよね。
なんの判断基準もなく、外観やメニュー、人づてに聞いた話というごくごく少ない情報で判断するしかありませんでした。
しかし今では、web上で簡単に近所の店や病院などの口コミを調べることができます。
本当に便利になったものですよね。
・・・と言いたいところですが、ちょっと待ってください。
本当に便利になりましたか?
正しくは【ネットリテラシーが高い人にとっては便利になった】というのが実際のところじゃないでしょうか。
中途半端にネットを使う人にとっては、逆に害にすらなる場合があると思います。
web上の口コミは信用できるのか?
ユーザーが自由に口コミを投稿できるサイトやサービスは、今や数えきれないくらい多く存在します。
しかし、果たしてそれらの口コミは信用に値するのか?
この問いに一言で答えるのならば、
【そのまま信用するのは危険な口コミも結構多い】
となります。
そのサービスの運営の仕組みによっては、いくらでもステマや自演ができてしまうのですから。
ステマや自演ができる仕組みになってしまっているのならば、そこに付け込んで恣意的な口コミを差し込んでくる輩が出てくるのは当然の事。
なので、「口コミはすべて一般人による善意の投稿だから信用できる」などとは間違っても考えてはいけません。
そのサービスがどういう仕組みで運用されているのか、何を目的としているのか、などによって信用できるかどうかはガラリと変わってきます。
比較的口コミが信用できるwebサービス
では、どんな口コミが信用できるのか?
それは、そのサービスがどういう仕組みで運営されているかによって変わってきます。
信用できる代表的なサービスは、楽天やAmazonなどの「原則、購入した人がその商品についての口コミをする」という仕組みになっているサービス。
こういった場合、対象の商品をけなしたり持ち上げたりしたくても、実際に商品を購入しなければ口コミができない場合もあります。
ただ感情でけなしたり持ち上げたりしたいだけで、わざわざ商品購入までする人はあまりいませんから。
また、口コミを外注で請け負う業者も、商品購入が必要となるとステマコメントをするのはさすがにハードルが高くなってしまいます。
都度都度商品を買っていたら、口コミ代行料を貰っても赤字になってしまうので。
・・・というのが一般的な考えなのですが、Amazonの場合は注意が必要です。
以前から中国勢によるサクラレビューが横行しているので、Amazonにおいては、単純に「レビュー件数が多い」「評価が高い」というだけで判断するのは危険。
詳細については以下の記事にて。
[関連記事]■ Amazonで中国によるサクラレビューが横行!「評価が高い」「口コミが多い」というだけで信用しては駄目
なので、一つの目安として、【日本のショッピングサイトで、その商品・サービスを実際に購入・利用した人が口コミする仕組みになっている】という媒体での口コミは、そこそこ信用できると考えていいでしょう。
ただ、これらのサイトでも油断は禁物。
それぞれ「その商品を買っていなくても口コミができる」・「口コミすることで優待があるから口コミする」などの不純物も混じるので、そのまま信用しては駄目。
ああいった巨大なプラットフォームでも、商品を売りたいという第一目的を達成するため、色々な抜け穴が用意されています。
そこを突いて、自演やステマ口コミを投入しようとする輩も現れてしまいますから。
このように、比較的信用度の高い媒体でもある程度気を付けなければならないのだから、その他の場合はなおさら注意が必要。
どんな媒体・サービスであろうと、そこに書かれている口コミには常に嘘が紛れ込んでいる可能性がある、ということを念頭に置くべきです。
信用できない口コミサービスの典型
誰でも書ける、または無料会員登録で書けるようになる、という口コミサイトは、どうとでもなります。
いくらでも自由に嘘まみれのステマ口コミを書き放題。
お店の宣伝に繋がるような口コミサイトは特に要注意です。
例えば、病院や美容院、整体院などの口コミで有名な某店舗の口コミ・ランキングサイト。
適当なフリーのメールアドレスを使って会員登録をすれば、いくらでも投稿が可能です。
こういったところに限らず、口コミサイトというのはできるだけ口コミを集めたいので、投稿のハードルを下げ、少しでも口コミが集まりやすいようにしているもの。
それが自演であろうがなんだろうが関係なく。
場合によっては、悪い口コミは投稿できない仕様になっているところもあります。
理由は簡単で、店舗の悪口を書き込めるようになってしまうと、その店舗はページを削除すると言い出すかもしれないから。
有料会員だった場合ならば、無料会員へ切り替えるか、最悪こちらもページを削除しようとするかもしれません。
有料会員が減る。
店舗ページが減る。
どちらも、口コミランキングサイトにとっては避けなければいけない事態。
有料会員が減れば売り上げが下がるし、店舗ページが減れば媒体価値が下がるので。
なので、お店の口コミランキングサイトで、良い口コミばかりが多く集まっているような媒体はかなり注意が必要。
悪い口コミは封殺され、良い口コミが「お店の自演」や「業者への外注」などにより量産されている可能性が高いので。
そもそも、ナチュラルな口コミというのはそう簡単に集まるものではありません。
口コミとは、お客となった人が、以下の条件をすべて満たした時にのみ発生するものなのですから。
■そのお客が、対象のお店に対して、かなり強いポジティブorネガティブな感情を持った
■そのお客が、行動力がある人だった
■そのお客が、「この感動的なサービスの良さを周囲にも伝えないと!」「この最悪なお店で自分のように悲惨な目に遭う人を減らさないと!」という強い使命感を持つ人だった
この3つの条件がすべて揃った時、やっと口コミが発生します。
もちろん例外はあるものの、原則、この条件を満たさないと人は口コミを書くまでには至りません。
その一例として・・・
僕が月間3,000万PVのサイトを運営していた時も、数千ページある中で口コミをいただけるのは月間で40件ほど。
月間のユニークユーザー(実際の月間の訪問者数)で250万人という数でも、この程度の口コミしかもらえないのです。
審査制にしていた上、積極的に口コミを集めようとはしていなかったので、その影響も大いにあったのかもしれません。
とはいえ、訪問者数を考慮するとかなり少ない口コミ数でしょう。
この経験で、ナチュラルに口コミを投稿してもらうというのは本当に難しい、ということを心底実感しました。
■誰でも口コミが書ける or 無料会員登録だけで口コミが書ける
■口コミの数がやたら多い
■良い口コミばかり
もちろん、上記に該当するすべての媒体が信用できないというわけではないですが、上記3条件すべてに該当した場合は、かなり慎重に見極める必要が出てきます。
口コミの自演・ステマ・嘘を見抜くための3つの方法
では、自演やステマの口コミをどのようにして見分けるのか?
その具体的な方法について記していきます。
実際の例を挙げた方がわかりやすいと思うので、僕の近所にある『A歯科』を例として扱っていきます。
この歯科医院は、実にわかりやすく自演・ステマをやらかしているところ。
自演を見抜くための教科書があれば、それに載ってもいいほどストレートにやっています。
その① : 特定の店舗や商品だけ突出して口コミ数が多い
この段階で、かなり怪しい。
ほぼクロです。
早速A歯科を例にしてみると。
僕の住む地域には、歯医者が乱立しています。
軽く10以上はあるほど。
そしてこの『A歯科』は、とあるお店の口コミランキングサイトにて、僕の住む地域にて数ある歯科医院を抑えてダントツトップの口コミ数を誇っています。
2位以下は、すべて5件以下の口コミ数なのに対して、1位のA歯科だけ40件オーバーの口コミ。
通常、こんなことはありえません。
仮にA歯科が超名医だったとしても。
明らかに不自然な偏り方です。
このように、多くの同業者が登録している口コミサイトにて、1店舗か2店舗だけが突出して口コミ数が多い、という場合は、自演である可能性が非常に高くなります。
とどめとして、『Googleのクチコミ』の数まで多かったら、もうほぼ決まりですね。
Googleで店舗名を検索すると、検索結果の右側に店舗の写真や住所や営業時間が出てくるのですが、そこに『Googleのクチコミ』という項目があります。
ここから対象店舗に対して口コミができるのですが、これは自分のgoogleアカウントを使って書き込みをするため、書き込むためのハードルが少し上がります。
なので、どんなに良い店でも口コミ件数が5件以下、ということもザラ。
多くても10件程度になっているのが普通。
そんなGoogleのクチコミで、100件とか200件という数の口コミがついていて、しかもそのほとんどが高評価となれば、もうこれは自演確定と言っていいですね。
おそらく、ステマ口コミサービスを提供している外注業者でしょう。
ちなみにA歯科の『Googleのクチコミ』の数は、しっかりと200オーバー・・・
平均評価もほぼ満点に近い・・・
他の歯科医院は、軒並み10件程度しか口コミがないのに。
依頼した外注業者の質が低いと、こういったバレバレの自演をさらすことになります。
その② : 良い口コミばかり
口コミというのは、「対象のお店に対して、かなり強いポジティブorネガティブな感情を持った」時の一部で発生するもの。
要は、感動的に良い!と感じた時や、ふざけるな!と感じた時ですね。
いたずらや気まぐれによる書き込み、という多少のノイズも少しはあれど、原則、強い正か負の感情が生まれないと書き込もうとは思いません。
よって、良い口コミばかりで溢れることなど基本的にありえないのです。
その時点で、「自演やってますよ~」と告白しているようなもの。
A歯科も、当然このパターンに当てはまっています。
ほぼすべてが良い口コミのみなのですから。
ところがこのA歯科、近所に住む人たちの実際の評価はボロボロ。
以下、僕の妻が、近所のママ友や知り合いなどからA歯科について聞いた話。
「上手いこと口車に乗せられて、不要な治療を勝手にやられたことが後日わかった。」
「できるだけ高額な治療を勧めてくる。」
「予防だなんだと言っていろいろ売りつけようとする。 他の歯科医院でそんなことされたことないのに。」
「一度子供を連れて行き、A歯科では虫歯が2本あると言われたが、不思議に思い一度帰宅。 他の歯科医院に行ったら虫歯などないと言われ、かつ学校の検診でも虫歯なしと言われた。」
・・・という感じで、とにかく評判が悪い。
なんとかして治療に結び付けてお金を稼ごうとするらしい。
また、近所で開業している知り合いの歯科医の方にも聞いたのですが、近所の歯科医たちの間でも評判が悪く、「何も知らずにA歯科へ行ってしまった人がかわいそうだ」とまで言っていました。
こんな歯科医院なのに、ネット上の口コミを見ると良い事ばかり。
ネットリテラシーが低いと、ついつい信用して行ってしまう人もいるでしょう。
良い口コミというのは基本アテにならない、くらいの捉え方をしておく方が無難です。
あえて悪い口コミを探して、そこから判断する、という方が全然良いですね。
その③ : 内容が利用者目線になっていない
口コミ内容を見ていると、いかにも実際に利用したお客が書いているように見せていますが、しっかり読むと違和感を感じることがあります。
では、これも実例でいきましょう。
以下は、A歯科への口コミの1つ。
特定されるとまずいので、文章自体はかなりいじってありますが、内容としてはほぼそのままです。
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外観も綺麗で院内も清潔感が非常にあり、すごく安心できる空間。
キッズスペースも充実していて、治療もすごく早く、そして丁寧です。
院長先生もとても熱心で優しい方で、わかりやすく説明してくださって大変ありがたかったです。
虫歯予防にも力を入れているとのことでしたので、頻繁に行こうと思います!
~~~~~~~
誉め言葉を詰め込み過ぎですし、情報も薄っぺら過ぎです。
いくらなんでも不自然。
ただ、これだけではまだわからない。
この投稿者さんが、本当にこう感じたのかもしれないので。
ということで他の口コミを見ていくのですが、まあびっくりするくらい内容が似ている。
「院長が熱く優しい人で、治療も上手くて速い」
「子連れでも安心」
「予防に力を入れているので定期的に通うべき」
言葉や表現やキャラは微妙に変えているものの、内容としてはほぼほぼ上記のもの。
ここから見えてくるのは、この口コミはすべて『歯医者側が推したいポイント』だということ。
患者目線ではありません。
これは、口コミを冷静に見ていけば見抜けます。
数十件(数十人)もの口コミがあって、その内容がどれもこれも似たようなものになるはずがないのですから。
人それぞれ見るポイントや感じ方というのは違います。
このように、要約すればどれも似たような事が書かれていたり、「それってお店側が客に推したいポイントだよね?」というようなことばかりが盛り込まれた口コミが多い場合は、自演の可能性が跳ね上がります。
おそらく、外注業者に「こことこことこのポイントを推してください」ということで依頼しているのでしょう。
その④ : 投稿日時(投稿ペース)が偏り過ぎ
これはもう、決定的な証拠と言っていいほどの要素なので、是非覚えていただきたいです。
言うまでもなく、口コミの投稿日というものは、ある程度固まったり散らばったりするもの。
ここ1か月は妙に口コミがあるな~、なんて思ってたら、そこから2週間パタリと口コミが止まったり、など。
こういった推移は非常に自然なものです。
逆に、常に一定のペースで口コミが付く方が不自然なくらい。
このように、ある程度の偏りはごく自然なものですが、どう考えてもありえない偏り方で口コミが投稿されている場合があります。
これもA歯科を例に出します。
例の口コミランキングサイトにて、A歯科についている40件以上の口コミの投稿日を見てみました。
すると・・・
サイトに登録してからの半年間で38件の口コミがあり、以後2年間は口コミの数がたったの4件だったのです。。。
いやいやいや・・・
わかりやすいにも程がある・・・
この逆の流れならばまだ分かります。
サイト登録直後こそ年に1~2回くらいしか口コミされなかったが、徐々に名医だと認知されてきて、直近半年間ではバババっと40件近い口コミが増えた、とか。
それでもやや増えすぎですが、これならばギリギリありえます。
しかし、最初の半年間で良い口コミが40件近くも集まり、その後全然書き込みされないなど、普通に考えてあり得ません。
自演丸出し。
おそらく、外注業者との契約が切れたのか、自分で自演していたがもう不要だと判断したのか、のどちらかでしょう。
この「投稿日(投稿ペース)の極端な偏り」や「理不尽な投稿数の推移」は、自演を見抜くのに最も強力な方法なので、是非活用していただきたいです。
口コミサイトが悪いわけではないが・・・
こうした信用出来ない口コミが集まってしまうのは、口コミサイトを悪用する人がいるから。
口コミサイト側が悪いというわけではありません。
しかし、責任の一端はあると思います。
特に、悪い口コミには厳しい審査をかけ、褒めている口コミはほぼ載せる、というようなやり方をしているところは。
そういうサイトは、口コミを信用して行動しているたちの気持ちを今一度しっかり考えて、健全な運営に取り組んで欲しいと心から願います。
それにより、「悪い口コミも載せるなら、もうウチの店は掲載しない」みたいなことが起こり、一時的に売り上げは落ちるかもしれません。
しかしそこを我慢しながら誠実に運営することで、最終的には「ここの口コミサイトは本当に信用できる!」という信頼を勝ち取り、自然と人が集まってくるようになるはずですから。
最後に
【web上の口コミというものは、決してそのまま鵜呑みにしてはいけない】
【信用できる口コミと信用できない口コミを見分ける方法】
主に、この2点について長々と語らせていただきました。
特に、情報の真偽を見分ける力というのは非常に大事。
本記事などを参考にして、是非皆様にその力を身に付けていただき、皆様が『優良店』や『自分が求めるサービスを提供している店』を適切に見つけられるようになることを願っています。